第十三学園都市にある遊園地では毎晩9時になるとパレードが始まる。シャシデーはいつもそのパレードの先頭に立って最高の笑顔を振りまいている。しかし、彼女が人間ではなく、もともとは名もなき機械人形だったことを知るのはごく一部の関係者のみ。構造はエルヴァやリリーと似ているが、やや型が古く、戦闘機能は完璧とは言えない。その原因は製造者が機械生命体ではないことにある。シャシデーは人間の手で違法に開発されたのだ。そんなシャシデーには、製造者によって街角に捨てられてしまった過去がある。そして何の目的もなく日々を過ごしていたある夜、遊園地のまばゆい光に興味を惹かれたシャシデーは、一人で園内に入り、静かにパレードを眺めるようになった。
この機械人形の存在に気づいた遊園地側はその処遇について政府と話し合いを重ねた。その結果、遊園地側が「感染体が襲ってきた時のための戦力」として受け入れることが決まった。しかし、戦闘用の機械人形が園内を歩き回っていると目立ってしまい、来園者も夢の世界に没頭できなくなってしまう。そこで遊園地のスタッフたちは機械人形にパレードの衣装を着せ、来園者への接し方やパレードでの振る舞い方を教えるとともに「シャシデー」という名前を与えた。心を込めて来園者をもてなすシャシデーは徐々に遊園地の一員として溶け込んでいった。今のシャシデーは、製造者と再会することよりも、来園者に最高の幸せを届けることだけを望んでいる。
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